アウトノマ大学にはアーモンドやミモザの花の並木道があり平和な空気に満ちている。高木香世子助教授の総指揮のもと、3日間にわたる講座は約30名の参加者がスペイン各地から集まった。スポンサーは国際交流基金、
テーマは「日本語を通していかに文化を教えるか」

 講師は細川英雄(早稲田大学教授)と私(佐々木瑞枝)、
スペインの日本語教育事情を知る良い機会だったと思う。
列車事故が起きたのは、帰国一日後のことだった。


マドリッド 招聘状
武蔵野大学
文学部大学院教授
佐々木瑞枝先生

このたびマドリッドアウトノマ大学では、国際交流基金の日本語ネットワークプログラム援助を受けて日本語教師のセミナーを開催することとなりました。つきましては、佐々木瑞枝先生に講師としてご出席いただきたく、ご依頼申しあげます。

日時:2004年2月27日から3月1日
場所:マドリッドアウトノマ大学
講師:早稲田大学 細川英雄教授、及 武蔵野大学 佐々木瑞枝教授
研修会の目的:今年度より文部省の認可をうけて、スペインでははじめての日本研究専門課程が当校で開講され、全国的にも日本語教師の数が増えている状況に鑑み、教師のレベルアップ及ネットワークを目的とするセミナーを開催する。テーマは『日本語を通していかに文化を教えるか』。
スポンサー:国際交流基金 及 スペインの公立機関 Casa Asia
(往復航空運賃、宿泊費、講師謝礼)

マドリッドアウトノマ大学




スペイン日本語教育研修2004
武蔵野大学文学部・大学院教授 佐々木瑞枝

外国で日本語・日本文化を指導する際に求められる日本語の教師の能力の一つに教材の作成能力があげられます。
日本で出版された教材にはおのずから限界があります。
自分たちで教材作成を行う際に注意すべき点をあげておきましょう。

1 スペインの学習者にはどのようなニーズがあるのか。
2 既成の教材を応用して作成することもできるが、その場合教材の分析・評価を行う必要がある。
 ○いつ発行された教材かを見る。
  ・刻々と変化する日本語の話し言葉だが、現代の日本語では使われない表現などが含まれていないか。
  ・男女の会話に不自然なところはないか
  ・教授法は作成された時代に影響を受ける場合が多い。機関や個人、共同執筆者についても知っておく方がよい。
 ○教材を作成した著者のバックグラウンドを把握する
3 学習のニーズが多様な場合を想定する。
 学習目的、学習期間、時間、学習場所、年齢、母語、学習スタイル、文化的背景など
 ○単一の教材では対応できない。
 ○補完する教材を選択する必要がある。
 ○補完する教材の組み合わせを考える
4 リソースとして使える教材(資料参照)
 「会話の日本語」「会話の日本語ドリル&タスク」(ジャパンタイムズ)
 「日本語ことはじめ」(北星堂書店)
 「日本事情―素材集」(北星堂書店)など
5 教える人は(組織か、チームティーチングか、個人か、)
6 教える場所はどこか
7 教える人の日本語の技能(スペイン人の先生の場合)―教わる人の日本語の技能はどのくらいか
8 シラバスを考える 構造シラバス 、場面シラバなど
9 テキストの一課の構成は?
  目標、動機付け、コミュニケーション場面、文型、例文、会話、タスク、ドリル、ロールプレー、プロジェクトワーク、
10 難易度を考えて作成する
11 どんな語彙を選択するのか
12 文法説明はスペイン語で入れるのか
13 教師用指導書は作成するのか
14 教科書の体裁を考える
   サイズ、デザイン,値段、など
15 効果的に教える方法が配慮されているか、



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