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「日本語教育教材の中のジェンダー: ビジュアル・リテラシーの観点を交えて」
佐々木瑞枝(武蔵野大学)
本発表では、ジェンダー表現やジェンダー的要素が日本語教育でどのように現れているかを見るために、教科書、教育用ビデオの文章や会話文、談話、挿絵な
どビジュアル・リテラシーの観点も交えて検証し、あるべき方向性をさぐる。
ジェンダー論的観点からの日本語教科書分析はまだ十分になされているとは言えないが、発表者の観点からは、わずかな先行研究のひとつである渡部
(2001)に注目したい。渡部(2001)は、子ども向け日本語教材においていかに性別役割分担が既成の価値観をなぞる形でなされているかを批判的に検
証したものだが、ジェンダー論的視座からの日本語テキスト批判であるという点に加えて、挿し絵という視覚素材に着目している点が興味深い。 本発表では、
これら2点を継承し、テキストの種類をひろげるとともに、視覚素材の分析に際して、近年言語教育にも取り入れられるようになった「ビジュアル・リテラ
シー」の手法を援用することによって考察の視野と射程をひろげることをめざす。
すなわち、初級、中級、上級のそれぞれの代表的な教科書10、総計30の教科書のテキスト本文、イラスト、ドリル練習、タスクとともに、それらのレイア
ウトをジェンダーの視点からとらえなおす。また、市販されているビデオ教材についても、ビジュアル・リテラシーの観点から、そのジェンダー的な含意につい
て考察する。
最後に、こうした具体例の分析をもとに、日本語教育においてジェンダー表現やジェンダー要素をいかに取り扱うのが望ましいかについての提案を試みたい。