日本語における男女の言葉遣い
世界の言語(げんご)の中で日本語は男女による違いが一番ある言葉だと言われています。
例えば、
・自分をさす言葉「わたし」は男女双方(そうほう)が使うが、「ぼく」「おれ」は男性が使う
感嘆詞(かんたんし)として、(おどろ)いたときや感心(かんしん) したときに使う「まあ」「あら」は女性が使う
などです。
 文末( ぶんまつ)につける終助詞(しゅうじょし)にも、男女の違いが現れます。
(おそ)いぞ」の「ぞ」は男性が使い、断定(だんてい)したり、  相手に警告する(ひびき)きがありますが、「遅いわね」の「わね」は女性が使い、相手(あいて)同調(どうちょう)(もと)める(やわ)らかい響きとなります。
 また、女性のほうが丁寧語(ていねいご)敬語(けいご)を多く使うと言われています。
 男性語・女性語は、使い方にはっきりしたルールがあるわけでなく、使用場面(しようばめん)や、話し手(はなして)年齢(ねんれい)、話す相手との(した)しさの度合(どあ)いなどによっても現れ方が違います。
 「おれがついてるぞ」(男性)、「(こわ)いわ」(女性)などのように、「男らしさ」や「女らしさ」を強調(きょうちょう)するために男性語・女性語を使う場面もあります。
 言葉遣(ことばづか)いの男女の違いは、1941年の『礼法要綱(れいほうようこう)』(文部省(もんぶしょう))に初めて規準(きじゅん)として明記(めいき)され、教師用(きょうしよう)指導書(しどうしょ)にも  「男女の話し方が違うことをわきまえる」という項目(こうもく)()れられました。
 話し言葉の指導(しどう)(とお)しても男女の()意識(いしき)させようとしたことがうかがえます。 しかし最近、若者(わかもの)たちの間では、男性語・女性語がお(たが)い近づいていて、男性が女性語を使ったり、(ぎゃく)  に女性が男性語を使うという傾向(けいこう)が見られます。
 例えば、女性が「おいしい」ではなく「うまい」、「()べる」ではなく「()う」、男性が「そうなの」と言ったりします。 今後(こんご)はますます、男性語・女性語が近づいていくに違いありません。なぜならその背景(はいけい)社会(しゃかい)変化(へんか)があるからです。

下のグラフは、20~40歳代の女性がどんな(おんな)言葉(ことば)終助詞(しゅうじょし)を使っているかを調べたものです。
これを見ると、女性でも若い方では「の」「のね」以外のこのような終助詞を使っていないことが分かります。

 

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